1. 今ここからスタートする
そこにあるものや、運命によって与えられたものに不満な者は、生き方に教養のない人である。だがこれらを立派に辛抱し、それらに基づくものを筋の通るように使用する者は優良な人と見做される値打がある
引用:岩波文庫『人生談義(下)』エピクテートス 鹿野治助訳より
あなたはこれまで人生を歩んできて、持っているものや得意なことがあるはずです。お金があるなら使うこともできますし、空いた時間を見つけて好きなこともできます。
無い物ねだりや無理な願い、無駄な後悔をしても意味がありません。
今ここからスタートしましょう!
あなたにはあなたにしかないものがあるはずです。お金も時間も無限にはありません。しかし、あなたは今のあなたのままで新しいスタートを切れます。自分のやりたいと思ったことを、少しずつでもいいからできる範囲で進めていきましょう。「自分磨き日記」をノートに書き始めると面白いですよ。今はスマホでも自分磨きのためのアプリがあります。コツコツと続けていけば、気がつくと生まれ変わった自分になっています。
2. 自分視点で考える
君のものでない長所は何も自慢せぬがいい。もし馬が自慢して「私は美しい」というならば、それは我慢できるだろう、だが君が自慢して「私は美しい馬を持っている」というならば、いいかね、君は馬の優良なことを自慢しているんだ。ところで君のものは何かね
引用:岩波文庫『人生談義(下)』エピクテートス 鹿野治助訳より
立派な家・高級な服・豊かな財産・誇れる地位・高学歴などは、すべてあなたの外側にあるものです。世間ではこれらのある人が尊敬され、あなたも羨ましいと思っているかもしれません。
しかし、あなたはあなたのうちにあるものを磨くべきです。
たとえば、自分磨きの動機が間違っている例を挙げてみます。なんとなくみんながやってるから英会話をはじめる、モテるために外見にお金をかける、友達に見せるために高級車を買う、などです。これらはすべて「他人から見て自分がどうか」を気にしています。羨ましいと思ってもらおうとしたり、好意を手に入れようとしたりするのはやめましょう。結局そのように他人のことばかり見て自分の内側に目を向けなかったから今の状態があるのです。
自分ではどうにもならない「他人の視線」のために自分磨きをしてはいけません。先の例では、英会話でも元々やってみたかったことであれば挑戦するべきです。外見でも、自分が何とかしたいと思っていたり、車でも自分の満足のために欲しかったら買ったりするのも良いでしょう。でもそれらは、「他人にこう思ってもらいたい」というきっかけでスタートしてはいけません。
あなたの心の声を聞き、本当にやってみたかったことを自分のためだけにやりましょう!
3. 時間を有効に使う
肉体に関する事柄で時間を費すこと、例えば長時間運動をしたり、長時間食ったり、長時間飲んだり、長時間排便したり、長時間交接したりすることは才のないしるしである。しかしこれらのことは余事としてなさねばならぬ。君の全注意は心に向け給え
岩波文庫『人生談義(下)』エピクテートス 鹿野治助訳より
今までやったこともない運動を無理にしたり、失恋やストレスを言い訳にして暴飲暴食をしたりするのはやめましょう。確かに運動することも食事することも大切です。でも、それらを自分が見失うほどむさぼってはいけません。
何事も、ほどよくやるのが良いのです。好きなことに没頭するのは素晴らしいことです。しかし、常に心の中では物事に対する距離感を感じて、冷静でいましょう。
4. 自分も他人も責めない
進歩した者のしるし ー それは彼が何人をも咎めず、何人をも褒めず、何人をも非難せず、何人をも責めず、自分自身についてひとかどの者であるかのようにも、何かを知っているかのようにも話さないことである
岩波文庫『人生談義(下)』エピクテートス 鹿野治助訳より
あなたは今までにさまざまな経験をして、「自分磨きをしよう!」と思い立ちました。「あいつに馬鹿にされた」「あいつに振られた」「こんな自分じゃダメだ」など、悔しい思いをたくさんしたと思います。
しかしそんな自分を責めても、あるいは他人を責めても現状は変わりません。くわえて、誰にも罪はないことがほとんどです。みんな必死に生きていて、周りを見る余裕もありません。
あなたも、他人も不完全です。だからこそ、向上しようと思うのです。謙虚な気持ちを忘れず、あなた自身が新たに一歩を踏み出せるようにがんばりましょう!
5. あなたを向上させるのはあなただけ
君はもう子供ではなくて既に一人前の大人なのだ。今もし君が不注意でだらしなく、君が君自身に注意する日を次々と定めていつも延期に延期を重ねるならば、君自身はそれと気づかずに進歩することなく、生きても死んでも普通の人として終ることだろう。だから君自身をもう完成し、進歩しつつある者として、生きるに値すると思うがいい、そしてすべて最善と思われるものを君に対して不可侵の法則とするがいい
岩波文庫『人生談義(下)』エピクテートス 鹿野治助訳より
あなたはいつの間にか大人になりました。あなたにあれこれと注意してくれる人は少なくなっていることでしょう。大人は、自分の生き方に自分で責任を持たなければなりません。あなたが変わりたいと思ったら、あなたが自分を変えていくしかないのです。
あなたを向上させられるのはあなただけで、それができなければなんでもない普通の人となります。いつまでも妥協し、いつまでも甘え、いつまでも変わらない。
そんな日々を新しくする挑戦があなたにはできます!
あなたの人生の主役はあなたなのです。
心から歩んでいきたいと思う道を、勇気を持って歩んでください!