悩むのは当たり前。自分がわからないときどうするか

自分のこの生き方は正しいのだろうか」などと問わないように。
その質問の本意はたぶんこうだろう。
「自分は生き方にしても、抱える問題にしても、他の多くの人とかなりちがっていると思う。そういう自分が人生をよりすばらしくするにはどうすればいいのだろうか」
この質問についてならば、ある程度なら答えられる。
「他人の生き方を少しも真似することなく、自分の生きたいように、いつも自分そのものであるように生きればいいのだ。もちろん、その場合でも責任は負わなければならない。うまくやる方法など、どこを探してもない。しかし、自分のその個性的な生き方において必然的に起きてくることについては逃げることなく、心から認めて受け入れるならば、いっそう強く生きられるようになる」

引用:ヘッセ 人生の言葉 エッセンシャル版 ヘルマン・ヘッセ 白取春彦編訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン

他人の真似をしない

あなたは世界で一人しかいません。生まれも環境も人それぞれ違うので、他人と比較する意味はありません。
たとえば、どんなに野球の才能があっても、野球がない国に生まれて野球を知らなければ、プロの野球選手にはなれません。一方で、大きな才能はなくとも、環境に恵まれて成長する人もいます。

あなたがなりたいと思っているあの人は、なるべくしてそうなる環境に身を置いていたのです。

この世界は、生まれた場所や環境に大きく左右されます。

我々は知らず知らずのうちに、様々なことを経験して、「手持ちのカード」を持っています。逆に言えば、「手持ちのカード」しかないことに、ある時気がつきます。

他人が持っている「カード」を羨んでいても、それはあなたの「手持ちのカード」にはなりません。あなたは今の「手持ちのカード」で勝負するしかないのです。

自分にないものを求めるのではなく、何があるのかを見つけましょう。健康・若さ・お金・時間・過去の経験・能力・感受性・専門知識など、何がありますか?生きている以上、何かは必ず見つかるはずです。どれか一つで十分です。

あなたにあるものを活かしてください。

自分そのものであるように生きる

どんな環境が居心地がいいかというと、自分らしく振る舞える環境です。
素の自分を出したり、自分をわかってくれたりする人たちに囲まれていると、リラックスできます。

身体が強くないのに、肉体労働をすることは大変です。細かいことを考えるのが嫌なのに、デスクワークをするのも厳しいです。

人間は自分の性質に合ったものができると、充実感や幸福感を感じます。

自分の性質に合ったことをなんでもすればいいかというと、そうではありません。犯罪を犯したい欲求に駆られても、負けてはいけません。間違ったことをすれば、辛い報いを受けます。

では、あなたは何をすればいいのでしょうか。どのように生きればいいのでしょうか。自分に合った性質のものはどうやって見つけたらいいのでしょうか。
残念ながら、簡単にそれらが見つかる方法はありません。一生、見つからない人も大勢います。自分がこの世界でどんな風に生きていけばいいのかわからないまま、命を終えます。

でも、いつも自分の心の声に耳を傾けていれば、おのずと何をすれば良いのかわかります。良くないのは、自分の気持ちを無視して、「普通の人はこうしてる」などの常識に左右されることです。あなた自身になることに反する常識があれば、それを乗り越えましょう

もちろん、どんなに自分の本性に合ったことをしていても、困難や壁にぶち当たります。まったく難しさのない人生など不可能ですし、あったとしても面白くはないでしょう。人生には苦労がつきものだと理解していれば、自分の道を見失うことがありません。どんな道を歩いても困難があるのだから、自分の道で出会える困難ならむしろ温かく迎えることができます。そうして生きていく向こう側には、強くなったあなたがいます。