結論から言えば、ケースバイケースである。当たり前の話だが、腕時計を買うだけでモテるなら苦労はしないし、世の中の男がみんな腕時計に熱心になるだろう。
ここではたとえば、時間はスマホで見れる時代だからうんぬんかんぬんを語りたいわけではない。腕時計の良さを語りたいわけでもない。
高級腕時計をしていてモテるケースというのは、高級腕時計を着用している男が自然にそれを身につけている場合である。世界有数の大富豪とまで言わなくても、日本で金持ちであればいい。そんな人が数百万や数千万円の時計をしていても、違和感がない。
これが、年収400万円もいかない、あるいは資産で1000万円も超えていないような人が、無理をして高級腕時計を買って着けている場合、変なのである。
あらためて口に出すのもバカバカしいが、女は腕時計だけを見ているわけではない。靴、洋服などにおいても同様である。
女は男をトータルで見て判断している。髪型、顔、性格（一緒にいて面白いか）、体格、雰囲気、洋服、靴、腕時計、香水、年収、社会的立場、権力、などなど、細々とあげればきりがないほどだ。特に大事なのは年収、社会的立場、資産（貯金）である。男を常に値踏みしているわけだが、腕時計は判断材料のひとかけらにすぎない。
簡単に言うと、年収300万円で貯金が100万円以下の男が200万円の時計をつけていても、モテに影響を与えることはない。時計が大好きな男か、時計にだけこだわりがある男か、勘違い成金男か、なんでもいいが、女にとってそれが男を選ぶ要因になることはない。無理をして高級品を買うような男の心の隙をついて騙そう、くらいは思う可能性がある。現実は、女は冷めた目で、「そんなお金があるなら、年収をあげるために自分に投資するとかすればいいのに」などと思っている。時計マニアだからモテるという方程式があるなら、違う宇宙の話だろう。身を削る高級品は、男をあげることがない。
焦点は、腕時計がモテとどのように関係しているかである。身もふたもない話かもしれないが、高級腕時計をモテに利用できるのは、本当にお金がある人と社会的立場がある人だけである。あえて「社会的立場」と言っているのは、成金では意外に女がついて来ないからだ。話はそれるが、成金がモテる層はフリーターやニートの若い女である。女はパートナーを選ぶ際（パートナーの意味は、重くても軽くても）、周りにどう見られるかを常に気にしている。一日中引きこもり株の取引をしていて、目が飛び出るほどの資産を持っている男でも、一緒に歩いていて「イケてない」なら、ただの金づるにしようと思われるのが関の山。同性の友達にもあまり自慢できないし、社会的つながりが薄く人間関係の濃密さがない男は減点される。女は金で動くが、女の心までは金で動かせないのである。
腕時計に限らず、高級品というのは、自分の年収や資産や社会的立場を証明する用途で使うだけだ。高級品を買えばテンションがあがり、仕事に精が出るという使い方も、あるにはある。ただその場合は、完全なる自己満足であり、モテには影響しない。決して自慢してはならず、もし自慢すれば果てしなく男を下げてしまう。ほんの少し背伸びした程度の高級品であれば、女もそういう物を買った経験があるので、理解してもらえる。手がギリギリ届く高級腕時計を買い、それにふさわしい男を目指している、と言えば素直だし、むしろ向上心が評価されてモテにつながるかもしれない。しかし、同じことを繰り返して言っているが、100万円台の普通車をローンで買ってる人間が、何百万円の腕時計を買おうとしていたら、滑稽である。
ふさわしいものを身につけていることが大切なのだ。みすぼらしい服をまとい、高級腕時計をしていても意味がない。腕時計が高級なら、服も靴も香水も、その他すべてが同格の必要がある。そうすれば、もし社会的立場や資産がなかったとしても、一時的な関係しか結ばない女なら落とせるかもしれない。もちろん自分には、誇れるような年収も資産も社会的立場もないことを隠して。それが何になるのかは、誰にもわからないが。
腕時計にしてもなんにしても、身につけているものがその人とマッチしていれば、あとは顔（清潔感）や性格などで魅力的になればいい。たとえば、スキンケアをする、悪口や僻みは抑えて明るく元気に、一緒にいて楽しい雰囲気作りをする。一方、年収や社会的立場は急には変化しにくいのが難点。しかし、それだけが人間ではないので、今ある自分の仕事を大切にして、等身大の全力な自分を女にぶつけていく。そうすれば、高級腕時計ひとつを見せびらかしている不自然な男よりも、格段にモテる。あなたをトータルでちゃんと勘定してくれた女が、あなたを選ぶのだ。