岩波文庫、エピクテトスの『人生談義(下)』より
人生は軍務のようなものであるのを諸君は知らないのか。
各人の生活は戦役、しかも長い複雑な戦役のようなものである。君は軍人の本分を守らねばならない、そして将軍の目くばせですべてをやらねばならない。もしできれば、彼の欲していることを見抜いてするのでなくてはならない。
人生についていろいろと思うことは誰しもある。
苦しい時、「なぜこんなに苦しまなくてはならないのか!」と嘆くこともある。
そんな時、エピクテトスは言う。
「人生は軍務みたいなもんだよ。まさか知らなかったの????」と(笑)。
ハッピーうきうきと人生生きていけるわけではない。確かにハッピーなときもあるが、一時的か、勘違いだ。
そもそも人生は楽しむために作られているのではないよな、と。
うまくいっている状況の時でさえ、どこかは妥協していたり、我慢していたり、欲求不満だったりする。
では、苦しむために作られたのかというと、それも違う。
人間が勝手に苦しんでいるだけで、別に苦しみは強制されていない。
苦しまないようにするにはどうすればいいかを考えるがゆえに、哲学や宗教を勉強し始める。
「ああ、別に苦しまなくていいんだな」
「人生って不思議だな。どんなに考えても結局わからないや」
心の底から納得できたとき、むさぼるような「学び」をやめ、
自分の人生の役割を全うするための行動を始める。
わたしの、あなただけの「軍務」がある。