「人生の後悔ランキング」を見て人生後悔ばかりにならないために

「人生は一度きり!後悔しないように生きよう!」という言葉が巷で言われているようだ。「人生の後悔ランキング」なるものがあるらしい。愛する人にありがとうと言えなかったとか、美味しいものが食べられなかったとか、旅行に行けなかったとか、仕事に打ち込みすぎたとか、健康とか、この手の類である。人生が終わる間際で後悔した人たちの後悔したことを、今生きているうちに知っておいて、後悔しないように生きようというのがテーマらしい。

第1位 愛する人に「ありがとう」と伝えなかったこと
第2位 美味しいものを食べておかなかったこと
第3位 自分の生きた証を残さなかったこと
第4位 自分のやりたいことをやらなかったこと
第5位 行きたい場所に行かなかったこと
第6位 タバコを止めなかったこと
第7位 子どもを育てなかったこと
第8位 仕事ばかりだったこと
第9位 感情に振り回された一生を過ごしたこと
第10位 健康を大切にしなかったことhttps://matome.naver.jp/odai/2133674223250274601 より引用

「人生の後悔ランキング」を見てみると、人間の願望・欲望の反映である。「人生の後悔ランキング」に載ってある項目は、そもそもすべて生きているうちに実行可能なのかという点と、すべて実行したとして後悔せずに人生を終えることができるのかという点が問題になる。

私の考えでは、「人生の後悔ランキング」をすべて実行したとしても、後悔する人は後悔する。「後悔する人」というのは後悔するから、という理由に尽きる。

人生は思うままにならないものだ。確かに自分の希望通りになるものもある。しかし、すべてが希望通りにはならない。たとえば第2位の「美味しいものを食べておかなかったこと」にしても、食通の大富豪なら世界中の絶品料理をすべて食べられなかったと死の間際に嘆くかもしれない。普通の人はここまで思っていないが、あなたが何気なく希望していることは、誰かにとって恐ろしく贅沢かもしれない。個々人によって願望も欲望も差があるため、「後悔ランキング」に汎用性がないのが残念だ。

「後悔」ということを考える際に忘れてはならない事実がある。「後悔」とは、してもしなくてもよいということだ。簡単に言えば、後悔したければすればいいし、後悔が必要ない人は後悔しない。上記の「人生の後悔ランキング」が何一つできない人でも、そもそも後悔しない人は後悔しないのである。

「人生の後悔ランキング」を真剣に考えている人は、自分にとって「後悔する」という行為があまりにも普通になっているため、「後悔しない人生」を送ることが難しいと思っている。「人生の後悔ランキング」を参考にして自分がそれを実行すれば、「後悔しない人生」を送れると信じている。しかし、先にも言ったように「人生の後悔ランキング」は欲望の反映なので、なにか一つの欲望を満たすことができたとしても、次の新たな欲望の虜になるだけである。永遠に「人生の後悔ランキング」が更新され続けることになってしまう。

では、「人生の後悔ランキング」において大事なことは何なのか。まず、「後悔」は自発的な思考の結果生まれるものである。そして、思考そのものは自分でコントロールできると知ることが重要だ。たとえば、大好きな趣味に熱中しているときに、過去の後悔をしているだろうか。友達や家族と楽しく過ごしている時に、過去の後悔をしているだろうか。過去のことすら考えず、現在を楽しんでいるはずだ。「後悔」は思考の結果生み出される想念の一つにすぎない。思考や感情のコントロールを意識しよう。

「人生の後悔ランキング」を参考にして、「後悔しない人生を送ろう!」と行動を起こすのはもちろん良いことだ。大いに人生を謳歌すればいいし、その権利は誰にでもある。

だが、「後悔」そのものすら自分でコントロールできるということを知った時、人間はもっと自由になれるのだ。