私が実際に観て、大人が楽しめると感じたアニメ『パリピ孔明』を紹介します。
あまりにも幼稚だったり、中身が薄すぎると挫折してしまうアニメも多いですが、
私が挫折しなかったアニメについて書くことができればと思います。
概要やあらすじなどはすぐお分かりになるでしょうから、省略して感想を述べます。
パリピ公明
素晴らしいアニメでした。オープニングから良い。オープニング曲の「チキチキバンバン」を伴い孔明と月見英子が踊り、中毒性のある作画が心を奪います。エンディングの「気分上々↑↑」も文句なしに盛り上がる。
パリピ孔明はまず物語の構成や発想とは別に、曲や作画などのディテールがしっかりアニメを支えており、安心して観ることができます。
パリピ孔明の発想は斬新そのもの。異世界もののアニメは、たいてい主人公が異世界を訪れ冒険しますが、パリピ孔明では逆になっています。三国志で有名な諸葛孔明が現代の渋谷に降り立つという設定です。これによって、現代の渋谷を諸葛孔明の視点から観るという「異化」作用が生まれます。「異化」を簡単に言うと、我々が当然だと思っている日常的な風景を違う生き物が見て再認識するような効果のことです。
孔明は渋谷のハロフィンの日に転生したので、周りからは仮装だと思われて受け入れられます。渋谷ハロフィンの様子を見た孔明が「ここが地獄ですか」と感じる顔を見ると、笑えます。みなさんの中にも渋谷ハロフィンの様子が「地獄」のようだと思った人がいるでしょう。孔明が「地獄」と判断した渋谷ですが、アニメでは渋谷のネオンがとても幻想的に美しく描かれていると思いました。渋谷といえばゴミゴミしたイメージを持っていた私ですが、絵によってこれほどキラキラ描けるものなのだなと目を見張りました。
孔明の生きた時代が三国志として日本で認知されているため、予想に反して孔明が現代社会に溶け込んでいけます。なるほどこんな異世界ものの描き方があるものなのかと感心しました。
天才軍師として名高い孔明なので、現代に来てもめちゃくちゃ優秀。あっという間に現代のことを学び、適応します。そして、渋谷に降り立った日に助けてもらった月見英子の夢を助けます。月見英子の夢は、歌手になること。月見英子の「軍師」として、月見英子のがんばりに知恵を貸します。孔明なら現代でどのように知恵を絞り、名もなき一人の女の子を有名な歌手にするのか。その戦略がとても見ものであり、物語を通じて発揮されます。
私がパリピ孔明を大人が楽しめると強く言えるのは、挫折と原点を描いているからです。月見英子は歌手を諦めようとしていました。しかし孔明に出会うことで、もう一度その夢を追うのです。なぜ月見英子が歌手になることを目指したのか。そのきっかけがアニメで描かれます。誰しも何かを始める時、きっかけがあるものです。目標を立てたり夢を見たりすることで、日々努力します。いつも上手くいくとは限りません。日常生活は残酷なまでに自分の思うようにいかず、消耗していきます。パリピ孔明では、月見英子だけでなく他の登場人物の挫折や悩みや原点が描かれます。それぞれの人物が苦しんでいる。その苦しさに対して、孔明は知恵の光を当ててあげます。孔明は戦争が絶えない時代において、人間の苦しみに多く接した人物です。だからこそ人々(民草)に寄り添うことができます。登場人物が自分の悩みや弱さと向き合い、それらを克服していく姿には胸が熱くなりました。そして、私自身の原点を振り返るきっかけにもなったのです。パリピ孔明はただの異世界おもしろアニメではなく、人生の真実に触れた芯があるからこそ、素晴らしいアニメになっているのです。諸葛孔明は知性の人です。そんな人物を題材にするのは勇気がいります。なぜなら諸葛孔明という知性を描くためには、作者もそれ相応の知性を求められるからです。でもこのアニメは諸葛孔明をしっかり使いこなし、コミカルに表現できています。最高のコメディアニメだと思います。
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