【読んだよ〜】小川洋子『ダイアナとバーバラ』若い男は読まない

『約束された移動』という短編を読んだ後に続く物語が『ダイアナとバーバラ』だった。『約束された移動』で小川洋子の呼吸感は掴めていたので、同じ雰囲気かなと思ったら、見事にそのままだった。なんの意外性もなく、至って平凡な筋書き。そこで勝負していないのは明らかにわかる。日本語に関しては相変わらず綺麗だ。「女性らしい」しなやかな文体で、やはり枯れている。そこに生命の躍動感はなく、人生を回顧するような趣き。偉大な物書きであれば、もう少し幅広い読者層が読むに堪える作品を書いてほしいが、趣味的な作品集なのだろうか。若い男は読まない気がする。

特に気になった点を。前半部分の服飾の描写は、備忘録か? かなり筆を尽くしているが、作家自身がこういう服飾が好きで、でも見てるだけでは自己満足でしかないから、作品に昇華したのか? 読み始めたときはこういう描写もありだなと思っていたが、作品を通じて服飾描写が効果的だったかと言われると、微妙。服飾を観察して描写するとどのようになるか、という練習的描写、つまり習作なのであれば理解できる。全体的に服飾はそれなりの割合を占めていて、物語の構成上も重要だからかまわない気もするが、うーん。私のようなド素人ですら知っている大作家だから、特に気にせず読者はついてきてくれるのかな。

作家がこういう服が好きでそれを描きたくて、そのあとに物語の構想を練ったのだろうか。言うまでもなく物語はつまらないし退屈なんだけれども、では読後感はどうだったか。これもなにもない。あの度重なる服飾描写を乗り越えて読み終えたのだから、もう少しご褒美があってもいいじゃないか! 

エスカレーター補助員の話も空港の乗り継ぎ補助員の話も、正直物足りない。擁護する人はここの部分があるからこそ、と言いたいかもしれないが、なんせ斬新な視点がない。はっきり言って一般的な視点すぎて、面白みがない。物静かで温かい話だから求めていないと言われたとしても、世間の荒波を乗り切ってきた大人が本当に満足できるか? 老年に差し掛かる作家なのであれば、枯れた文体だけではなく一端の男をも満足させる深みを出してほしい。コアな読者層ではないんだろうが。。。豊かな貯金に支えられた余裕の年金暮らしをしている女性高齢者にしかウケないのではないだろうか(ごめんなさい)。文庫本買ってちゃんと時間使って読んだんだから、もう少し満足させてくれよ!

なので、『ダイアナとバーバラ』の唯一の面白みは服飾の描写であり、それ以外に見るべきものはない。


    
      

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